僕が「お金」のことを考える理由
人とお金の研究室が稲穂の写真を使うと 何故かすごく儲かっているように見える気がする。。 |
僕がお金、というか”お金がつくる世の中の構造のようなもの”に注目をしだしたのはリーマンショック事件 (※1)が起きたころでした。
最初は友人と飲みながら、「なぜたかがアメリカの金融機関が1つ破綻しただけで世界中の経済に影響があるのか?」という話題になり、まずはネットでいくつかのサイトを調べてみよう、という程度のことだったと思います。
僕は経済の専門家ではないので、今でも詳しく背景を説明できるわけではありませんが、その当時の僕の拙い理解では、「今の資本主義の仕組みや、その構造の中で信じられているものは、実は非常に不安定な状況にあり、今信じられているお金やお金中心の価値観の根本が揺らぐような出来事」と言えるほどの、まさに『事件』だということでした。
これまで無条件で信頼し、当たり前だとしてきたお金を前提とした社会の構造自体が限界を迎えようとしていること。
そういった仕組みや構造を一旦視野に入れると、学校や企業・行政・地域社会など、さまざまなところで課題や問題だと言われていることが、その構造によって引き起こされているような気さえしてきます。(※2)
それから数年後、
先ほど述べたような視野を持ちつつ、自分なりに働き方を模索した結果、僕は30を目前にそれまで所属していた団体を離れ、フリーランスとして活動するようになります。
当時はそこまで考えられていませんでしたが、 先に挙げた『構造』から距離を取るために、組織に所属するのではなく、個人として働き方を模索する必要があり、その方向へ舵をきったのだと、今になって思います。
一方、僕の周りは結婚が相次ぐ時期。
教員の友達や企業に務めている友人も多く、そのころ友人と会うと、
「保険はどんなところに入ってる?」
「家とかマンションはどこに買う?」
「老後のために今から稼がないと」
こんな会話が増えていました。
フリーランスと言う不安定な道を選んだ僕は、そんな会話についていけるはずもなく、その度にプレッシャーを感じ、未来が不安になったり、働き方を迷ったりしていました。
「今から彼らに追いつき、追い越すためにはなんとしても最低月に50万以上は稼がなくては。そのためには、寝る間も惜しんでお金を稼げる事業を作って、いずれは人を雇って、組織を作り、マネジメントをして、できるだけ安定した働き方を作って、、、。」
こんなことをほぼ自動的に考え始めている自分がいました。
そして、そんな自分に気付いたとき、愕然としました。
「そもそも、そういうのが嫌だからフリーランスになったのに、わざわざ個人になってから組織を作るなんて。。それじゃ構造の中にいるのと変わらないんじゃないか?」
そう考えると、僕がフリーランスになったのは、単に個人事業主として稼げるのかどうかのチャレンジではなく、今の社会の構造から離れた違う生き方を見つける、と言う類の、命をかけた挑戦だったんだと、捉え方が変化していきました。
命をかけて見てみたい景色を見る。
始めたころは完全に想定外でしたが、実は僕が選んだ道はそんな道だった。
自分でやったことながら、騙されたような、でも望むところでもあるような、今はそんな心境です。
そして、そんな挑戦をしていくためには、お金とは何か?人が生きるとは何か?ということを向き合って考えざるを得ない、そんな心持ちで人とお金の研究をしてみようと思い始めました。
小林けんじ
※1 リーマンショック
2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻した出来事を、これが世界的金融危機(世界同時不況)の大きな引き金 となったことに照らして呼ぶ表現。リーマン・クライシス(Lehman Crisis)、リーマン不況ともいう。それに続く金融危機や不況なども含めて意味する表現としてよく使われる。(wikipediaより)
※2 学校や企業・行政・地域社会と〜〜〜。
当時僕は大阪にある教育系のNPOに務めており、学校・企業・行政・地域社会に所属する方と一緒に仕事をしたりする機会が多くありました。そのNPOには 学生時代も含めて8年半所属し、その後1年間京都のNPOに転籍した後、フリーランスとなった、という経緯です。