言葉の研究 その1 カタイ書き言葉とやわらかい話し言葉

公開日: 2015-10-19 言葉の研究


この9月から、三浦つとむと吉本隆明の著作を土台に、言葉についての視界を深めている。

言葉について、というとき、これまでは書き言葉と話し言葉は同じか、もしくは似たようなもの、という認識でいたけれど、最近この二つの違いが大きくなってきている。

それは、以前より言葉というものに接近したせいで感じていることかもしれないけれど、とにかく、今の僕にとって話し言葉と書き言葉は全くの別物だと言える。


書き言葉は、書き手が自分の視ているもの(それが目に見えるものであれ、感覚や感情のような心的なものであれ)を意識的に言葉で切り取って、それを文章という形で固定化させたもの。

そこには、書き手の見ている景色と、その景色を数ある言葉の中から一つを選んで表現したという書き手の意思が一緒になって表現されている。

ぼくたちは、誰かが書いたものを読むときには、その二つを同時に受け取っていて、それが何かのイメージや像を結んだり、その見えたものを通して共感したり、感動したりしている。


一方話し言葉は口にした瞬間に消えていき、基本的に残ることはない。

話し手は書くときと同じように、自分の視ているものを数ある言葉から選んで表現するけれど、それらは固定されず、言った瞬間に言い直されることもあるし、明確に一つの表現を選ばず言い直しを重ねていくこと自体で一つの表現をすることもある。


残ることと残らないこと、この違いだけを見れば、書き言葉と話し言葉の違いは固定されることによる固さと、されないことによる柔らかさとも言える。


けれどそれは、一つの側面からとらえた違いに過ぎなくて、そもそも言葉で表現をすること自体が全体ではなく一部しかとらえることのできない行為ではあるのだけれど、もうすこし違う角度からも説明を試みようと思う。

続く
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