現代のことわざ1 「ちゃんと時間をかけるとけっこう早い」

公開日: 2015-10-13 現代のことわざ


小学生くらいのころ、学校の図書館で「ことわざ辞典」をよく借りていた。

辞典といっても絵がたくさん載っていて、子どもが楽しめるようにちょっとくだけた説明が書かれていたから、一冊あたりに載っていることわざの数は多くなくて、何巻も置いてあった。

最近、たまにぽろっと言ったり、聞いたりする言葉が妙に馴染むというか使い勝手がよくて話している中で何度も使ったりしていて、これって「ことわざ」のようだ。

 
「ちゃんと時間をかけるとけっこう早い」は、先日、まるネコ堂の庭で七輪の周りを囲んで話していた時にふっと口からもれた言葉だった。

口に出したときは、その場にいる全員が違和感を持たなかったのに、言った本人が「時間をかける」と「早い」の組み合わせの矛盾が可笑しくて笑ってしまった。

でも、「早い」ことが、自分が本当に得たいものを手にするまでの時間だとすれば、時間をかけることと、早いことは両立する。

その後話していたのは、『言葉にするのが面倒(時間がかかるの)で、ついつい雑にコミュニケーションをすると、話がもつれたり、ひどいときはケンカになったりするよね』という具体例だった。

「急がば回れ」は、似た意味のことわざだけど、こちらの方が時間を直接的に扱っている分、現代の日本語を扱う人にはよりしっくりくる表現になっている気がする。それはつまり、現代は、時間と言う最も抽象度の高い概念を誰もが何の苦労もなく扱うことができるようになった時代だ、ということでもある。

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