お金のインタビュー 長尾文雄さん その5
公開日: 2013-03-01 お金
かけがえの無い命を切り売りしてお金に換えてる時代
長尾:あの、僕はある大学の授業でね、「自己の発見」という授業を、まあ30年近くやってんねんけどね、そのワークの一つにね。ファミリーツリーを作るって言うワークがあんねん。
小林:ファミリーツリー?
長尾:うん、要は家系図のような物なんですけど、自分というものを中心にしてね、自分が産まれてから二十歳くらいになるまでに、どういう親戚の人たちが関わってね、そしてつながっていて、育ったのかということをシンボリックに書きましょうというようなものですね。まず最初に、小さいときから今までつながっていると思う、家族親戚、少し遠い親戚も含めて、思い浮かべられる人を、24枚組の小さなカードに書いてね、列挙するわけや。名前が分からなければ、どこどこのおじさんでもいいし。なくなった人やペットも入れてもいいし、関係が深ければ近所のおばさんまでならいれてもいいですよ。
そしたら30年前は、24のピースでは足らんくらい出てくるわけですよ。まあその中には、誰かが亡くなったときに会う従兄弟とかもいるんですけど、名前とか存在が意識できてるってことですよね。「ああ、あの人がいたな」、とか、「あの人の小さい子どもがいたな」、とか。それくらいまでは情報も入っていて、自分のつながりがあると言う意識ができてるわけですよ。多い子だったら48枚くらい使う子がいたんですよ。
最近は24枚なんて埋まらない。せいぜい12枚くらい。で書いてるの見たら、自分の家族くらい。家族っていっても、自分入れて3人とかの家庭もあるでしょ。で、おじいちゃんおばあちゃんが出てくるか、おじさんおばさん、くらい。かろうじて、その子どもとの付き合いがある、なしくらいやな。
小林:いや、でも僕もいま自分でイメージしたら24いくかは怪しいですね。。。笑
長尾:うん、でしょうね。うちの娘なんかにさしても、40くらいになるけど、どれくらいでるかね。まそれだけ、家族って言うんかな、つながりっていうのが、小さくなってきてるわけですよ。
小林:それも選択の結果ですよね。そのかわり増えたものがあるんですよね。
長尾:あるんでしょうけど。まあ、そんな変化はね、時代っていうか、流れの中で起こってきてるし。住宅の研究家なんかがはっきりそういうデータを出してるん違うかと思うけど、住宅、昔の家って言うのは、大体襖で仕切られた、田の字型の家やな。個室はないわけですよ。だけどある時期から個室ができるわけでしょ。団地ができ、一戸建てにしても個室をつくっていくっていう流れはどんどんでてきてるじゃない。でそういう中で家族のつながりっていうのも、どんどん断ち切られてってるし、
小林:ワンルームマンションとかも同じような流れですよね。下宿て言うと寄せてもらうとか、ルームシェアなんでざらにあったわけで。
長尾:かなり、いろんな切り口はできるやろね。で、それぜんぶお金に結びついてるやん。今やサービスもお金やもんな。かつてはね、隣の人が「ちょっと手伝おか」、いうて、手伝ってたことが、今はそれは許されないわけやな。「サービスとして成り立たせられるやん」、ってなったら全部そっちにもっていくというか。それをうまーくビジネスモデルとか、ゆうてはるやない。カッコいいことをみんな。
小林:なんで残ってたかをちょっと、考えようよ、みたいなそんな感じがあるんですよね。ワンルームマンションとかもめちゃくちゃ儲かったと思うんですよ。だって、一人で暮らす事ができるお金があるから。でもだんたん出せなくなってきたから、シェアハウスとかね。
長尾:で、そういうのの斡旋業がもうかっているという。斡旋と言う仕事をして、それをお金に換えてるというわけでしょう。就職仲介会社もそうやない、就職活動という概念ができたのも大きな影響を与えてるでしょうからね。
小林:あれも、学生の頃から違和感があったんですけど、そうやって、どんどん何でもかんでも切っていくと、「もうズタズタ・・・」そんな感じがします。笑
長尾:それこそ君が言う、お金でつながってる、お金がなかったら、それでおしまい。ていう世界にね、それはみんな薄く気付いてると思うねん。
小林:そうですよね。でも気付いても密接にくっ付いてるので、痛いんでよね、はがすのが。だから最近いろんな場で話していると、もがきながら話すような、「そんなにつらいんだ」、って。でも、その人に取ったら生きるか死ぬかの問題だからそりゃそうだよな、とか。
長尾:僕はこの、「お金とはなんなんでしょうか」っていう、問いにしてしまうと「そらお金は大切や」、ってみんな言うから(笑)。だから、お金では引き換えられないものとしての『生きる』というのがあるというのを君はいいたいわけやろ?お金に交換できない生きるということ、生きるって言うのはお金に交換できないこととして、全員同じように与えられているということやん。与えられている命というのはお金持ちであろうが、持ってないものであろうが、同等の価値をもってそこに存在するという。だけど今はそのかけがえの無い命をね、切り売りしてね、お金に換えてるということやんな。
で、それは、歴史的に言えば、産業革命の頃っていうのは労働を負って生きざるを得ないという事だって、労働の中からできてきたわけでしょ。搾取をされるという。命の搾取をされるというところで起こってきたのが労働運動やし、それの転化したものが社会主義ということだったんだけども、その社会主義が崩壊したわけやね。これで行き着くところ、「まあ資本主義しか仕方が無いか」ということでやっているわけやけども、その資本主義も今までは物々交換の延長でやっていたようなものが、今はお金と言う印刷したらできるものと交換する事でどんどん価値が変わってきたわけでしょう。
まあ、そんなとこかな。どうですか?
小林:ものすごく僕に取っては、なんていうか、僕に取ってはなんていったらいいか分からないくらい楽しく、面白い時間でした。
長尾:これがどういう風に変化して行くのか楽しみにしてます。
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長尾:あの、僕はある大学の授業でね、「自己の発見」という授業を、まあ30年近くやってんねんけどね、そのワークの一つにね。ファミリーツリーを作るって言うワークがあんねん。
小林:ファミリーツリー?
長尾:うん、要は家系図のような物なんですけど、自分というものを中心にしてね、自分が産まれてから二十歳くらいになるまでに、どういう親戚の人たちが関わってね、そしてつながっていて、育ったのかということをシンボリックに書きましょうというようなものですね。まず最初に、小さいときから今までつながっていると思う、家族親戚、少し遠い親戚も含めて、思い浮かべられる人を、24枚組の小さなカードに書いてね、列挙するわけや。名前が分からなければ、どこどこのおじさんでもいいし。なくなった人やペットも入れてもいいし、関係が深ければ近所のおばさんまでならいれてもいいですよ。
そしたら30年前は、24のピースでは足らんくらい出てくるわけですよ。まあその中には、誰かが亡くなったときに会う従兄弟とかもいるんですけど、名前とか存在が意識できてるってことですよね。「ああ、あの人がいたな」、とか、「あの人の小さい子どもがいたな」、とか。それくらいまでは情報も入っていて、自分のつながりがあると言う意識ができてるわけですよ。多い子だったら48枚くらい使う子がいたんですよ。
最近は24枚なんて埋まらない。せいぜい12枚くらい。で書いてるの見たら、自分の家族くらい。家族っていっても、自分入れて3人とかの家庭もあるでしょ。で、おじいちゃんおばあちゃんが出てくるか、おじさんおばさん、くらい。かろうじて、その子どもとの付き合いがある、なしくらいやな。
小林:いや、でも僕もいま自分でイメージしたら24いくかは怪しいですね。。。笑
長尾:うん、でしょうね。うちの娘なんかにさしても、40くらいになるけど、どれくらいでるかね。まそれだけ、家族って言うんかな、つながりっていうのが、小さくなってきてるわけですよ。
小林:それも選択の結果ですよね。そのかわり増えたものがあるんですよね。
長尾:あるんでしょうけど。まあ、そんな変化はね、時代っていうか、流れの中で起こってきてるし。住宅の研究家なんかがはっきりそういうデータを出してるん違うかと思うけど、住宅、昔の家って言うのは、大体襖で仕切られた、田の字型の家やな。個室はないわけですよ。だけどある時期から個室ができるわけでしょ。団地ができ、一戸建てにしても個室をつくっていくっていう流れはどんどんでてきてるじゃない。でそういう中で家族のつながりっていうのも、どんどん断ち切られてってるし、
小林:ワンルームマンションとかも同じような流れですよね。下宿て言うと寄せてもらうとか、ルームシェアなんでざらにあったわけで。
長尾:かなり、いろんな切り口はできるやろね。で、それぜんぶお金に結びついてるやん。今やサービスもお金やもんな。かつてはね、隣の人が「ちょっと手伝おか」、いうて、手伝ってたことが、今はそれは許されないわけやな。「サービスとして成り立たせられるやん」、ってなったら全部そっちにもっていくというか。それをうまーくビジネスモデルとか、ゆうてはるやない。カッコいいことをみんな。
小林:なんで残ってたかをちょっと、考えようよ、みたいなそんな感じがあるんですよね。ワンルームマンションとかもめちゃくちゃ儲かったと思うんですよ。だって、一人で暮らす事ができるお金があるから。でもだんたん出せなくなってきたから、シェアハウスとかね。
長尾:で、そういうのの斡旋業がもうかっているという。斡旋と言う仕事をして、それをお金に換えてるというわけでしょう。就職仲介会社もそうやない、就職活動という概念ができたのも大きな影響を与えてるでしょうからね。
小林:あれも、学生の頃から違和感があったんですけど、そうやって、どんどん何でもかんでも切っていくと、「もうズタズタ・・・」そんな感じがします。笑
長尾:それこそ君が言う、お金でつながってる、お金がなかったら、それでおしまい。ていう世界にね、それはみんな薄く気付いてると思うねん。
小林:そうですよね。でも気付いても密接にくっ付いてるので、痛いんでよね、はがすのが。だから最近いろんな場で話していると、もがきながら話すような、「そんなにつらいんだ」、って。でも、その人に取ったら生きるか死ぬかの問題だからそりゃそうだよな、とか。
長尾:僕はこの、「お金とはなんなんでしょうか」っていう、問いにしてしまうと「そらお金は大切や」、ってみんな言うから(笑)。だから、お金では引き換えられないものとしての『生きる』というのがあるというのを君はいいたいわけやろ?お金に交換できない生きるということ、生きるって言うのはお金に交換できないこととして、全員同じように与えられているということやん。与えられている命というのはお金持ちであろうが、持ってないものであろうが、同等の価値をもってそこに存在するという。だけど今はそのかけがえの無い命をね、切り売りしてね、お金に換えてるということやんな。
で、それは、歴史的に言えば、産業革命の頃っていうのは労働を負って生きざるを得ないという事だって、労働の中からできてきたわけでしょ。搾取をされるという。命の搾取をされるというところで起こってきたのが労働運動やし、それの転化したものが社会主義ということだったんだけども、その社会主義が崩壊したわけやね。これで行き着くところ、「まあ資本主義しか仕方が無いか」ということでやっているわけやけども、その資本主義も今までは物々交換の延長でやっていたようなものが、今はお金と言う印刷したらできるものと交換する事でどんどん価値が変わってきたわけでしょう。
まあ、そんなとこかな。どうですか?
小林:ものすごく僕に取っては、なんていうか、僕に取ってはなんていったらいいか分からないくらい楽しく、面白い時間でした。
長尾:これがどういう風に変化して行くのか楽しみにしてます。
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