集団的自衛権は全文を読んで議論しないと始まらない
公開日: 2014-09-28 ニュース考
友人が働いているNPOが発行する雑誌。ウォロ。 8・9月号に集団的自衛権の話が載っている。 |
7月に閣議決定があった”集団的自衛権の行使”について。
あんまり詳しくなかったので、いろいろ調べたり、
閣議決定全文も読んでみました。。。
読んでる人からしたら「当たり前だろ」という話ですが、
ネットで賛成派、反対派の意見を調べて読み込んでも、
結局よく分からなかったので、
「まずは書かれていることをしっかり理解しよう」
と思って読んだのでした。でも意外と、全文を理解した
前提で意見を言ってるサイトって少なかったように思います。
ぼくがこの件について思うのは
「海外への武力行使を視野に入れないといけないほど、
今の経済成長を保っていられなくなったのか」
です。全文を読む前からそう思ってましたが、
全文を読んでやっぱりそうだな、と改めて思います。
”国を守ること”についての話なら、
「日本に攻撃してくるときにどうする?」ということを話せばいい。
周りの国の様子を見て、武力を使えるようにするか、とか、
どのように使うか、とかちゃんと守れるのか、ということは
話していく必要もあると思う。
そして、それは閣議決定全文でいうところの、
「 1.武力攻撃に至らない侵害への対処」
(・海上保安や米軍との連携について記載。 )
の内容なのだと思います。
ただ、つづく
2.国際社会の平和と安定への一層の貢献
・紛争地域にいった自衛隊が武器を使えるかどうか、
後方支援をすることが武力行為に含まれるかどうか、について記載。
3.憲法第9条の下で許容される自衛の措置
・日本の脅威となる場合、他国への武力攻撃にたいしても
自営の措置として武力の行使を行うことについて記載
(ちなみに、4までで、4は「今後の国内法整備の進め方」)
の内容は、具体的な地名は出て来ていないものの、
中東とか、明らかに日本から遠い国が想定されている。
集団的自衛権 閣議決定全文 で探すと たくさん出てくる。 |
まともなことを最初に言っておいて、
他にも通したい案件をくっつけて認めさせる、というのは
交渉の常套手段だと思うのですが、
国会でもそういうことってあるんですね。
なぜ、テロや紛争がおこっているのか 、
なぜアメリカが中東の国に軍隊を送り込むのか、
これまではアメリカ単独で行っていた武力介入に
日本が加担していくのはなぜなのか?
それらのことは話されず、”日本の国益”を守るために、
必要とあらば”武力を行使”できることを認める。
かなり強引な決定だった気がするんですが、
そこまでしないと、今の日本やアメリカの豊かさを
”リスク”から守り、”成長”させていくことが
難しくなってきているのだろうと想定すると、
それも理解できる気がします。
ところで、
中沢新一氏は著書「圧倒的な非対称」(緑の資本論に収録)で、
”豊かな世界”と”貧困な世界”の二極化が進んでいく現代について、
このように書いています。
『社会の全体に張り巡らされた巨大な免疫システムがたえまなく作動し、
異物が入ってくるとすぐに除去できるような機構も発達している。
この安全で豊かな世界の内に、
そこで生活している人々を養うための大量の食料やエネルギーが
運びこまれてくる。ショーケースに並んだ肉からは
そのことを想像させるいっさいの痕跡は抹消されている。』
2001年9月のアメリカの”同時多発テロ”に 触発されて書き上げられた。 |
近くのことにしろ、遠くの国のことにしろ、
集団的自衛権についてもう一方で思うのは、
「賛成しようが、反対しようが、
この”豊かな世界”を構成するシステムや構造に
乗っかっている限り、 予め危機を取り除き、
得られる利益を最大化する動きは止められない」
ということです。
ぼくはどちらかと言えば、反対派の人に共感を覚えます。
しかし、今回の閣議決定は、さきほどの視点からみれば、
”今の暮らし”や”これまでの暮らし”をしてきた、
じぶんたち自身にもつながることだと思っています。
そういう意味では、
反対派の人でも、単に自分と国を切り離して
じぶんや家族が戦争に巻き込まれることを恐れて
国のやっていることを非難しているのか、
それとも、 今に至るまでこの大きなシステムの動きを
止められなかった当事者として、自らの生きかたを含めた
意見を言っているのか、で
一緒に語り合えるかどうかが分かれそうです。
ぼく自身は、戦争や平和のことについて
直接的に関わる機会は多くありませんが、
今世界で起こっていることを受け止めて、
なかったことにせずに生きていく、
ということをしていくしかないなぁ、と思っています。