「結婚はただの契約行為」だと思うから大切にできる関係

公開日: 2014-04-05 結婚式のこと

ドーナツ・ラボ新聞 vol.9 掲載記事)
 
  「人とお金の研究室」という屋号で活動を始めたとき、人に屋号を伝えるのはかなり怖いことでした。「お金」と見聞きすると、それぞれの人のイメージが あるようで、人によっては僕のことを「お金儲けばかり考えている人だろう」とか「急に金金言い出して大丈夫か?」とか、いろんなことを思うようです。


十年以上前に旅をしたインド。彼らの持つ
お金や結婚の意味は、僕らとは全然違うんだろうな。





 それでも屋号を掲げたのは、お金のことを分からないまま自分の人生を生きていけないと思ったからでした。多くの人にとって、お金は考える必要もなく十分 に分かっているものであったとしても、僕にとって自分の人生を生きる最前線にお金というテーマがあったわけです。

 そのような態度で生きていくと、世の中の常識を含めて全て手探りで生きていくことになるようで、今は自分の人生を使って実践と研究をしているところで す。その中で、結婚についても丸一年ほどパートナーと手探りをしてきたのですが、今回は僕たち二人が人生の最前線で考えたことを言葉にしてみようと思いま す。



結婚と言えばなんとなくおめでたいイメージ


 僕とパートナーは2012年の末、橋本久仁彦さんの円坐(ドーナツ・ラボのたいわのわ、と同じような集まり。)で出会い、1年ほどの期間を経て結婚をす ることになりました。そして、(年齢やお互いの住んでいる距離など環境的な要因もあるものの)付き合う時から「人生を共に歩みたい」とお互いに感じてお り、出会って間もなく結婚の話をするようになりました。

 そこで疑問だったのは、僕たちが一緒に生きることと結婚をすることに関係が見出せないことでした。結婚をしてもしなくても、お互いの人生に相手が必要な ことは変わりません。数十年前なら状況は違ったのかもしれませんが、現代を生きる僕たちの感覚ではそのあたりが全くリンクしてこないのです。


僕と相方が出会った兵庫県三田の風景
こんなところで出会ったんだから常識から
ちょっと外れた考え方にもなるのも仕方ない。

 このように考えていくと、結婚をすることで得られる大きなメリットがある、もしくはしないことによるデメリットがあるのではないか、ということが次の論点になっていきました。当時僕がとっていたメモを元に、二人で考えたことをごく簡単に書いてみます。

 ①経済的メリットがある:同棲することで食費や家賃などの生活コスト削減になります。ただ、結婚をしなくても同棲できるので理由としては弱い。

 ②税金や制度面でのメリットがある:入籍によって扶養控除が発生するので多少減税につながります。ただ、今住んでいる自治体では結婚による特別な行政 サービスは特になかったので決定的な理由になるには弱い。(僕が個人事業主なので、組織に所属している方はどうか分かりませんが。)

 ③社会的に承認される:結婚した二人として周囲との関係性を結び直すことは、僕たち二人の暮らしにとって意味を持つことなので、理由として何とか成立しそう。

 と、いろいろメリットを考えるもののどれも決定的ではなく、最終的にはあえて結婚をしない理由がないことも理由の一つとなり、僕たちは結婚をすることになりました。


やっぱり結婚といえばおめでたいイメージ

 考えてみれば、結婚のことを考える前には結婚をすることで二つの人生が一つになるようなイメージが漠然とありました。僕たちはそこに違和感や警戒心を 持ったのかもしれません。どこまでいっても僕たちは別々の人生を歩んでいる二人であり、それでも同じ家に住んで協力しながら生きていくことを決めた、とい うのが「一緒に生きる」ことの僕たちなりの正確な表現だったわけです。結婚は「一緒に生きる」上で必要であれば行う契約行為だ、何て言うと少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、そのような言い表し方が今のところしっくりきています。

 と、さも冷静そうにお互いの関係を観察したところで、未熟な僕が常に冷静でいられるはずもなく、日々もつれ合いながら何とか一緒にいるわけで、そんなときにこそ、パートナーと一緒に生きることを選んだ自分がいることを前提に関わり合うことが大切だと思う今日このごろです。

小林 けんじ
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