エンカウンターグループと円坐と仏教
公開日: 2014-10-13 円坐・エンカウンターグループ
昨日に続き、こちらもイベントの案内文で書いた文章ですが、
今後もこの説明を使うことがありそうなので転載します。
この本の表紙の人がロジャースさん。 |
非構成的エンカウンターグループは、
アメリカのカール・ロジャースという心理学者がつくったものらしい。
パーソンセンタードアプローチ(人間中心のアプローチ)という
ロジャースの人に対する態度や考え方は、欧米のカウンセリング業界に
多大な影響を与え、やがて日本にも伝わることになる。
ぼくにとっては意外だったけれど、
日本に伝わるときに、大きな影響を受けたのは、
当時の浄土真宗の僧侶さんたちだったそうだ。
南無阿弥陀仏の一言で浄土にいけることを説く浄土真宗と、
目の前にいる人の声をそのまま聞くことを大切にしたロジャース。
二つの流れが混ざり合う中で、やがて日本独自の人間観をもとにした
”グループ”が実践されることになっていく。
ぼくはお会いしたことはないけれど、橋本久仁彦さんが学んだ
西光義敞さん(「暮らしの中のカウンセリング」の著者)も、
そういった実践をする最前線にいた方だと聞いている。
西光義敞さんの本。 お会いしてみたかった。 |
”円坐”という言葉は、橋本久仁彦さんがつくった言葉。
ただ、円くなって坐るから円坐と呼ぶようになったらしい。
最近は「ご縁の坐」なんていうこともあるらしいので、
縁坐のときもあるのかもしれないけど。
誰かを癒したり、心の問題を解決したり、成長することを目的とせず、
ただ、一緒に坐ることだけが決まっている集まり。
不思議なことに、ただその場にいる人の存在そのままを”きく”と、
人は勝手に癒されたり、問題が問題でなくなったり、
”じぶんが気づきもしなかったじぶん”に出会ったりする。
橋本久仁彦さん。 「くにちゃん」と呼ぶ時と 「橋本さん」と呼ぶ時がある。 使い分けの基準はあいまい。 |
それは、ぼくがこれまで見てきた、
「予め到達する目的や目標があり、ファシリテーターが想像した
最高の結果をもたらすワークショップ」とは、まったく異質なものでした。
目的や計画やプログラム等々・・・すべてを取り除き、
”場に集まった人”以外に、なにも無い状態から始まるので、
ファシリテーターでさえ次になにが起こるか予想できない。
でも、終わってみると、その場にいる”ひとり一人の存在”が
どしーんと、体の奥底に残るようなグループ。やるたびに、
「ひと一人の存在とは、こんなに豊かで濃密なものか」と驚きます。
普通なら、なにも無いのは”ムダ”なことかもしれないけれど、
それが唯一、肩書きとか役割とか、余分なものを横において、
ぼくと目の前にいる人が会える場所なのだと思います。
0 件のコメント :
コメントを投稿