森洋介にきく その6

公開日: 2015-01-19 円坐・エンカウンターグループ

源流はずっと目の前にあった

小林:ここまで聞いていて、非構成の源流と言ったときに、いわゆるエンカウンターグループというカール・ロジャースが作ったものが元になってるのは間違いないんだけど、それ自体を引き継いで、ロジャースの意思を受け継いでいるという気にはなれないという気がしています。

で、せいぜいぼくがたどれるのは、西光先生とか橋本久仁彦という人たちがやってきた行いの、その流れを感じることぐらいなんだなと。そんなことを思いなが ら聞いてました。でも、ぼくが源流と呼びたかったのはまさにその辺りのことで、より興味が増してきております。(笑)

森:つながるか分からんけど、浮かんできたのが、あるときくにちゃんが「橋本久仁彦の話を聞く会」っていう企画をしてたことがあって、ぼくそれに行った。

当時、30代やと思うけど、全員が聞いてる中、くにちゃんがうれしそうに、ずーっと話をして、最後に「みなさん聞いていただいてありがとうございましたー!」ってほんとうに嬉しそうに言うの聞いて「この人は本当に楽しかったんやなー。」と思った。

ごちゃごちゃ考えずに心ゆくまで自分でいることの楽しみ、というか、心ゆくまで自分になってる人と接するときの面白み、みたいな、その辺がベースにあんねやなーみたいな感じがしている、今。

丁寧に聞かないと、というのはまぁ、道徳とか真面目さというよりも「この目の前に座ってる人ってどんな人なんやろ?」、「一体何が出てくんねやろ?」みた いな、くにちゃんは自分自身のそれもめっちゃ楽しんでる感じがあるし、だから自己成長のためとか、なにかの治療のためとか、自分を理解するためとか、そう 言うもんじゃなくてホンマに楽しいんやなーみたいな。

で、「その本当になにがおこるかわからんぞ。」、「いったい輪になって座ったら何が起こるんだ。」っていうのをワクワクして待ってるっていうのが、非構成の最大に面白いところだというのが、一貫して変わってないなーと思うね。

エンカウンターグループっていう名前ついちゃうと、やっぱりエンカウンターするグループになっちゃうよね。くにちゃんが30代の頃よく言ってた言葉で印象 に残ってるのが、「神様が仕事する、だから人間は遊んだらいいんだ。」って、「人間は別に仕事せんでも遊んだらいいんだ。」って、これまた、くそ真面目な ぼくには最初はピンとこんかったけど「遊んだらいいってそんな不真面目な。」って(笑)、でも、ぼくのなかではずーと印象に残ってる。

・・・とか、「起こってることは起こってるんだ。」、「いいも悪いも無いんだ。」みたいな質感だと思うんだけど、それやからファシリテーターというか、世 話人は参加者の体験に介入する必要がないと言うか、そもそもそんなことをする必要が無い、すでに完全なんだから、みたいのがくにちゃんの別の言い方だった けど、わりと衝撃だったね。

浄土真宗で言うところの他力の感じを思想で説くんじゃなくて、生きている姿で感じさせてくれたっていうか、それはくにちゃんであり、西光先生だなーと思っ ていて、くにちゃんもはっきりと「ぼくはロジャースに会ったこと無いからよく分からん、西光先生に会って、その場から始まったんだ。」って言ったりしてる よね。

けんちゃんが「西光先生と会ったこと無いから、会ったことのあるモーリーの話を聞きたい」と言ってくれたんやけど、西光先生の質感はそう言う意味では今も 生きてるし、けんちゃん会ってる気するんだよね。西光先生が人生かけてずっとやってたことっていうのは、ここにあるよなーって感じがしている。

思想的に知っとく必要は極論から言えばない気がしていて、本当に丁寧に作られた料理が人に伝わるように、そういう質感って伝わっていくもんなんかなーと思う。

小林:当たり前のことなんだけど、今やってることを理解しようと思って源流をたどっていこうとしたら、探し求めたものが既にここにあるって感じがして、ちょっと今鳥肌が立ってます。ジーンと来るものがあると言うか、あることが難しいという意味の「有り難い」感じかなぁ。

森:丁寧な料理がそれを食べた人の人間を変えていくように、ほんまに真剣に聞いている人がいたという、それで確実に変わっていった人のつながりが絶対に今こう来てるんやなーと思って。

小林: はい。では、時間になりましたので、終わりとなります。

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