「On the same boat」 と言えるかっこよさ

公開日: 2015-01-30 日記


この前、大阪にあるトムの親戚の家を訪れた。
左がトム。右は一緒に行った仁美ちゃん。

橋本久仁彦さんが通っている英会話スクールで
トムは講師をしていた。
お互い気があったようで、橋本さんが自宅にトムを
招いたりするようになり、ぼくは2014年の11月に
初めてトムと出会った。

数年前に、英会話の先生を辞めた彼は今、
アメリカ生まれの母と日本生まれの父が暮らす
岡山で農業をしている。

5才までを日本で過ごし、
6才から22才までを海外で生きてきた彼は、
日本語より英語の方が話しなれているらしい。



なので、彼が話すのは、片言でトツトツとした日本語だった。
けれど、それでも十分に「この人は言葉を丁寧に扱う人だ」と
分かる独特の空気があった。

最初に会った時、そんなトムの姿に妙にひかれて、
また会いたいと思った。
そして岡山から大阪にくる口実として、
ぼくを含む数人の集まりをつくり、
英語の勉強をしてくれないかと頼んだ。


で、先日、勉強会が開かれた。

内容はもちろん充実していて、
ぼくらは満足してトムに交通費程度の謝礼を渡そうとした。

そのとき、彼は困った顔をして、受け取りを拒否した。

理由をたずねると、
「On the same boat」とひと言。

「ぼくらは同じ舟に乗っている、同じ舟に乗っている仲間から
お金は受け取れない。」 と。

何を言っても受け取ろうとしない彼から感じたのは、
背中を預けられるような頼もしさだった。

アメリカや英語に対して、
正直なところ良い印象は持っていなかったけれど、
これは文句なしにかっこよかった。

そして、「オンザセイムボート」たったひと言で
ぼくたちとトムは、ほんとうに同じ舟に乗る仲間に
なった気がした。

彼はスペイン語もできて、
「ミカサツカサ」(俺の家はお前の家)
という言葉も教えてくれた。
「だからいつでも来いよ」っていうニュアンスも
含まれているような感じだった。

言葉っておもしろい。
月に一回、トムに英語を教えてもらうこの時間は、
ぼくにとっては、外国の言葉の世界を案内してもらうような、
そんな時間になりそうでワクワクしている。


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