くだらない理由が終わらせるケンカ
おもいもかけないところからドラマが始まる。 今回はコーヒーの道具がきっかけだった。 |
この間のパートナーとのケンカ。
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休日、東京から家に泊まりにくる友人を迎えるため、
パートナーと一緒に昼過ぎから部屋を片付ける。
片付けが終わりかけて、
彼女が空になったガラスの芳香ビン
(芳香剤のおしゃれなやつ)を洗い始めた。
ビンの中にゴムのキャップが落ち、
取り出せずに困った声をあげるのを聞く。
ぼくはビンにハシをつっこんで、
キャップをひっかけて取り出すと、
彼女は「ありがとう」と言って
空き瓶に植物を生けた。
ぼくは生けられた植物を見て満足し、
「友人たちが来るまでまだ時間があるから、
散歩がてら夕食の材料を買いに行こう」と言う。
彼女は流しを整理して、二人で外に出かけた。
1時間ほどして家に戻る。
買い物の途中で買ったシュークリームを皿に出して、
二人でコーヒーを淹れる準備をする。
ぼくはコーヒーをドリップするガラス容器に
さっき芳香ビンのキャップをとるために使った
ハシがつっこまれているのを見る。
すぐにハシをとって水ですすぎ、
匂いをかぐと、フワッと香水のような匂いがしてくる。
彼女は黙ったままその様子をうかがう。
ぼくは、
どうしてこんなことになったのか
イライラしながら聞く。
彼女は「ごめんなさい」と言いながら
ぼくがそのハシを使ってキャップをとったことも、
それを容器に入れれば匂いがつくだろうことも、
分かっていた、と説明する。
そしてまた、「ごめんなさい」を繰り返す。
ぼくは、さらにイラだって、
そのハシを流しにそのまま置くか、
最低でもガラスの容器に入らないよう、
気をつけなかったのはなぜか?
と問う。
「本当にごめんなさい。」と彼女は言う。
ぼくはあきれながら、
「だからなぜ?」と繰り返す。
困った彼女から最後に出てきたのは、
「友人がいつくるか分からないから、
できるだけ流しをコンパクトに片付けようとおもった。
細かいことは考えることができなかった。」
という言葉だった。
ぼくは、さっきまでイライラしていたのに、
笑いがこみ上げてきて、
どうしていいか分からなくなる。
「普段ならしなかったのだろうか?」と聞くと、
「本当に余計なことをしたと思う。」と言う。
まったく理解はできないけれど、
ほんとうにくだらない理由だと思うけれど、
ハシを全力でガラスに突っ込んだ彼女の姿が
おかしくて、笑うのが止まらなくなる。
彼女がお湯でガラス容器をあらって、
ほのかに香水の匂いのするコーヒーを飲んで、
シュークリームを食べる。
しばらくして、
友人から「近くの駅に着いた」と連絡が入る。
二人で駅まで迎えに行く。
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