言葉をそのまま聞いている人の味わい深い返事

公開日： 2015-02-21 日記

友人から紹介された本の出だしが気に入っている。

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ある日、ぼくは、父にむかって、こういったのだ。
「おとうさん、ぼく、月へいきたいんだ」
「けっこうだな」
父はそういっただけで、また読みかけの本を読みだした。
「おとうさん、ぼく、まじめなんだよ。」
するとこんどは、父は本のあいだに指をはさんでとじると、
ぼくを見た。
「だから、いいといっただろう。月へいきなさい」
「でも……どうやっていくのさ。」
父は、ちょっとびっくりしたような顔つきになった。
「それは、おまえが考えることだろう、クリフォード」
（ハインライン「大宇宙の少年」講談社（福島正実訳）p９より）＝＝＝＝＝＝

こんな風に、「月へいきたいんだ」という息子の言葉を、
そのまま聞けるお父さんは、そんなにいないと思う。

「月へいきたいんだ。」
という意思を伝えてきた相手をそのまま尊重する
「けっこうなことだな」という返しは、
なかなか絶妙で、味わい深い。