組織の中での円坐のお仕事

公開日: 2015-02-21 円坐・エンカウンターグループ 仕事

坂の多い街には
坂の多い街の風土がある。


年が明けてから、何度もじぶんで円坐を開いているが、
たまに、組織の中に呼ばれて円坐をすることもあったりする。

組織の中に入って円坐をすると、
その組織の中に醸成されている文化というか気風が
コミュニケーションの型になっているのを感じる。

往々にして、型から外れたコミュニケーションは歓迎されず、
それゆえ、組織の中で風通しの悪いところが生まれてくる。
「コミュニケーションができていない」
というのは、こういう状態のことを言うのだろう。

外から来た人には、
風通しの悪いところに風を通すことが期待されるが、
デリケートな話であればあるほど、
そこにいる人への敬意やこちらの覚悟が必要になる。

下記は、2014年9月のFacebookの投稿から転載した
組織の中に呼ばれて行った円坐の終了直後のぼくの感想。

ちょっとずつ、そういう仕事を増やしたいという思いもあって、
こんな形で記事をあげることにしました。





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この日曜日は、
兵庫県のとある教育施設での職員研修に行ってきました。

どんな組織にも、
人間関係のもつれやコミュニケーションのすれ違いはあるもの。

とりわけ、
組織をとりまく環境の変化がおおきかったり、
組織の体力が落ちてゆとりが少なくなったり、
体制が激しく変わったり、
組織の人員が急に増えたり、
そんなときには、もつれやすれ違いが大きくなって、

組織の運営にも支障が出てくることもしばしば。

縁あって急遽講師として紹介していただき、
事情もよく分からず関わることになったので、
今回行った園の実情はよく分かりませんが、
園からのご依頼は人間関係の
もつれやすれ違いについて扱う場を
持ちたいので協力してほしい、というもの。

こんなとき、
自分にできる唯一のことは”きく”こと、
だと言うようにしています。

”きく”ことは、聞くことであり、
訊くことであり、効くこと。

自分の全存在を懸けて聞き、訊き、
結果として、自分の存在を相手に効かせること。

文章にすると前後があるようにみえるけれど、
もちろん、この”聞く〜効く”は
どちらが先で後というものではなく、
聞いた瞬間に効いている類のもので、
相手に何らかの影響を響かせることを目的にはしていません。
(陽明学でいうところの渾然一体みたいなもの。たぶん。。)

以前の僕なら、
「私の仕事は”きく”ことです」と自分が言ったなら、
「自分から影響を与えることから逃げてないか?」とか
「結局、自分から仕掛ない受け身な態度だと思われないか?」など、
いろんな考えが巡って、
この姿勢に徹し切れていなかった気がします。

今、自信を持って”きく”ことが全てだ、と言えるのは、
人間がいかに他者の話を「きけない」生き物であるか、
ということを、以前より身を以て学んできたからだと思います。

他者を責める言葉の中に寂しさがあったり、
不安で仕方がない人の中に怒りがあったり、
笑顔や正義感溢れる言葉の中に恐れがあったり、
表面だけをみても分からない言葉を
ただただ”きいていく”末に、出会うものがある。

その景色を覗き始めたとき、
自分の日常が驚くほど多くの”きいていない”
もしくは”きかない”シーンに溢れているのかが分かり、
苦しんだ時期もある。

でも、結局は自分が”きく”こと。
そこからしか始まらないし、全てはそこにある・・・
のではないかと思う。

僕は、ささやかなウォーミングアップを除けば、
あとはひたすら”きいて”いた。

結果がどうなのかは、
その場にいた人にしか分からないことだとはおもうけれど、
今日届いた御礼のメールには、
「みんな自分のことも話せて先生に
うまく引き出していただいたと思います。」とのメッセージ。

自分が”引き出した”という感覚は、僕の中にはない。
”きく”ことに身を委ねることは、
自分の存在を懸けた勝負のようでもあり、
その意味では、僕がしていたのは、
ただただ言葉を真剣に受け止める、ということだった気もする。

そこには、受け止め損ねれば自分が痛むような言葉も
もちろんあるわけで、そんな言葉を自分から引き出すなんてことは、
ないと思うんだけど、離れてみればそのようにも見えるのかもしれない。

少し話は変わるけれど、
「一度でも”きく”ことの視野が広がれば、
その視野を得たことは二度と消えることはない」
というようなことを、僕が”きく”ことを学んだ
橋本久仁彦さんが言っていた。

本当にその通りだと思うし、今回体験し、
体感したことが、今後の園内の人間関係の中に、
くさびのように残っていくものだったなら、いいなぁと思う。
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