【書評】網野善彦『「日本」とは何か 日本の歴史00』

公開日: 2016-03-09

2014.7.27に旧ホームページに記載していた記事の転載です。

網野善彦『「日本」とは何か 日本の歴史00』 (講談社学術文庫)
歴史の常識をひっくりかえして、経済が生まれる原点を教えてくれる一冊

以前紹介した 「石器時代の経済学」(マーシャル・サーリンズ著)を読んで、「では、日本ではどうだったのだろうか?」という問いが浮かんで読み始めた一冊。
自給自足の生活から発展して、物物交換できる余裕を持つようになって、貨幣経済に発展して商品が流通するようになったという、これまでの歴史学の支柱ともいえる考え方は既に崩壊しており、縄文・弥生時代から交易は既に行われていたという著者の指摘は、サーリンズの言う”狩猟採集民の豊かさ”と同じように、これまでの常識をひっくり返すもので、とても刺激的だった。著者の言う通り、「人間は最初から他者を意識した社会的な存在」ということであれ ば、じゃあ国家とは何なのか?これまで発展だと捉えて来た現在に至るまでの歴史をどのように捉え直すのか?という問いが浮かんできますが、そこは著者に とっても今後解明していく領域のようです。
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