お金のインタビュー 大谷隆さん その3

公開日: 2016-03-05 お金

「置き換え可能なパワーみたいなのがお金はすごい強いから、適用を間違えると、すごくドライになれるんだよね。」 

大谷:けんちゃんはお金に対してどういうイメージを持ってる?

小林:今言ってたみたいなお金にまつわる構造。会社の中だけじゃなくて、世の中にも構造がある気がしていて、そういうものに興味がある。

以前は、その構造の中で「ここに不具合がでました。」ということで、ちょっとでも良くしようとしていた。構造の中で発生した問題をいかに解決するかというような。
でも、ふっとお金って言う切り口をみたときに「どんだけやってもこりゃ無理だ。」って。世の中変えるとか言ってるけど、全部を対処療法的に、治療薬を開発 するみたいに解決するというアプローチではどうも無理だぞ、と。僕自身もそういう中にいてしんどくなった部分もあるし、それで、ちょっと距離を置こうと 思った。
  

大谷:マレーシアに仕事で行ったことがあって、現地の人に「マレーシアの平均年収はいくらですか?」みたいな質問をしたら、「それは分からない。」って言 う答えが返ってきた。マレーシアって多民族国家で格差があるんだけど、そういうことなのかって。日本だと何となく「これくらいの世代だったら400万くら いかな。」とかあるけど、そういうのがないんだよね。

で、その(マレーシアにある)日本企業の工場を取材したんだけど、そこの日本人の工場長と話をしたとき「僕がやってることがマレーシアにとっていい事なの か悪い事なのか、正直分からん。」って言ってた。一応、マレーシア政府は日本企業が入る事を歓迎しているし、“ルックイースト”、日本をマネしようって いってやってる。

でも、日本企業がでかい工場をバンバン立てる前は、その土地には何にも無くって、人は昼寝して、起きたらバナナとって食べて、っていう暮らしをしていた。

そこへ日本の企業が来て、現地の人を雇って、お金を払ったら、当然色んなものを持てるようになって、携帯電話とかも持ってる。「でも、それが本当にマレー シアの人達にとって幸せかどうか分からないよね。」って当たり前のことをいってて、そういうのを目の当たりにする。


小林:まさにその人はビフォーアフターみたいなのを見たわけだ。バナナ取って食べてるところからずーっと。

大谷:それがずーっとできたんだからさ。何にも困って無いじゃん、勝手になってるバナナを食べて寝て。笑


小林:切らない限りはバナナがあるんだもんね。

大谷:切らない限りはね。そういう暮らしの良さを経済的な価値観、経済的な数字で評価する事は絶対無理だからね。(バナナ取ってる頃が)貧しかったとは言えないんよね。
お金って言ったとき、結局は普段買っているもの、知っているものの値段の序列、が僕にとってのお金のイメージだと思う。コーヒー1杯200円で高いとか安いとか、ていうのがお金であって、それがマレーシアいって、一杯15円とかになると混乱する。
わりとこう、べったり張り付いてるもんなんだろうね、暮らしに。だからあの、億ぐらいの単位になって来ると分かんなくなってきて


小林:そうだね、身体感覚では感じられないレベルになっちゃってる。

大谷:そうすると、経営レベルの話になって、人件費が基準の話になって行く。
僕の友達がそば屋をやっていて、元々は大阪にいて長野に引っ越した人なんだけど、いろんなことをやる人なんよ。いろんなプロジェクトとかをやって忙しいんだけど、「それ人件費で計算したらいくら持ち出してんの?」と言われることがあると。

そりゃ人件費って言う考え方でいくと、「膨大なお金を使って、これだけしかできない。」って言う発想になる。でも、それを人件費と考えるのはおかしんじゃ ないかって言ってて。じゃあ、何かをするときに「人件費がこれくらいかかります。」っていったときの人件費って何か、ってそういうのってちゃんと考えた事 無かったなって。

家事労働を人件費に置き換えるとすごくなるじゃん。そういう風にあえてして「こんなにかかってるんだ。これは重要な仕事なんだぞ。」っていう言い方もできる。


小林:人件費って言った途端に何か変な感じ。そしたら稼いでいる人は、家政婦さん雇って、代わりのきくものにいきなりなっちゃうんだよね。でもそうじゃないよね。家にあなたがいて、子どもがいたとして、その価値ってさ。

さっきのバナナも10年置いといたら、一房が5円とか10円でしか売れないから、ずっと植えといても経済的な価値は無いってことになるけど、その地にあれば、ある意味永久に人を養っていけるものなわけで。


大谷:そうやねん、だから人件費って、割と狭いところしか使っちゃ行けない。
助成金を取るときに、人件費を含めて申請していいかって割と重要な事なんだけど、それをそのまんま真に受けて「この助成金は人件費がつくから、小林くん月 ◯万円分払うからやって」とか言い出すとたぶんおかしくなるよね。別にけんちゃんじゃなくてもいいじゃん、って。人件費なんだから誰でもいいって、おかし くなっちゃう。

小林:置き換えが可能になっちゃう。

大谷:置き換え可能なパワーみたいなのがお金はすごい強いから、適用を間違えると、すごくドライになれるんだよね。

多分僕が最初に嫌だったお金のイメージはそれなんよ。より良いものを考えようとせずに、これぐらいで代替が効くんじゃないかって言う発想になる。

その次のステップとして持ったのは、お金じゃないと解決できないという場面でお金を使うっていうのが良いというか、もしくはお金を媒介させる事でスムーズに行くこともあるから、そう言う意味では良いと思う。
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