映画「あん」の余白に引き込まれた
公開日: 2017-01-17 映画
雪が降って外に出れないので何本か映画を見た。
「あん」 味わいのある作品だった。
あんだけに。
すいません。
面白かった、とか魅力のある、とか、
ありきたりな言葉でこの映画のことを言えないのは、
この映画が意図的に大きな余白を残して作られているからで、
具体的には、分かりやすく盛り上がるようなシーン、
主要人物に訪れる大きな出来事とか、人とのいざこざといった
「映画っぽい」場面がほとんどでてこない。
観客は主人公たちと一緒に怒りや悲しみを体験するどころか、
登場人物のだれにもなれず、たんたんと出来事に直面する。
それが中学生でもどら焼き屋のおっさんでも、
高齢のハンセン病患者でも、たんたんと。
気づくと、中学生やおっさんに何が起ったのか想像するように、
ハンセン病のおばあちゃんの暮らしのことを想像しようとして、
ハタとぼくには想像する材料がほとんどないことに気づく。
ハンセン病のことを検索したり、
以前知り合いからもらったままになっていた
ハンセン病の詩人について書かれた本を手に取っていた。
(この本もおすすめです。映画を見た方、見る方はあわせてぜひ
川崎正明 かかわらなければ路傍の人―塔和子の詩の世界)
ぼくはまんまとこの作品を作った人の思惑にはまった。
けれど、まったく嫌な気分がしないのは、
きっとこの映画を作った人がばか丁寧とも言えるくらい、
真摯にハンセン病と向き合って、
自分なりの見方を作品に託しているからだと思う。
見る前に、あんこ料理をオシャレに食べる気取った映画なんて
あんまり見る気にならないな、と思ってすいません。
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