書くことは聞くことに近い。読むことは話すことに近い。

公開日: 2017-02-28 言葉の研究


こういうことに気がついたのも
「言語」を書き続けてきた中でのことだけど

一般的に書くと読む。とか聞くと話す。がペアで。

書くことと話すこと、
聞くことと読むこと、がペアで考えられやすい。


けれど、
それぞれの行為をすることで、
なにが起こっているのか、
という視点にたてば、
書くと聞く、読むと話す
というペアがそれぞれ近い関係にある。


書くことと聞くことは、
自分と世界の境界線で起こる。

書くことは文字を綴るという
内側から外側へと言葉が現れる過程で、
聞くことは外側にある音声が自分の感覚器官へ
到達して言葉が内側に現れる過程で、
方向は逆を向いているけれど、
外と内、の間で生じる現象という点で
読む、話す、ことよりも近い距離にある。


読むことと話すことは、
内的に生じて内的に終わる過程。
読むことは意識の中に音や映像が直接生じる体験で、
話すことは内的に生じる言葉を身体を通して
音にする体験で、喉、というやや外に近い身体部位が
最終的な発生地点ではあるけれど、
話している言葉を選んでいる自覚を持っている人は
ほとんどいないため、
意識の作用も含めれば内的な体験だといえる。



内側へと向かう意識は、
内的な体験の生じる読むことや話す方へ向かう。

外側へと向かう意識は、
自分と世界の境界である書くことや聞くことへ向かう。


かくして、
読むことが好きな人は話すことがうまくなり
書くことが好きな人は聞くことがうまくなり、
本が好きだけど書くことが苦手だったり、
聞くことが好きだけど話すことが苦手な人間ができあがる。
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