言語大学講義録 その1「矛盾の最短ループ」
公開日: 2017-03-27 言語大学講義録
はい。今週も基礎言語論の授業をはじめます。
今週は、
O・T・Takashiのとなえる、
「矛盾の最短ループ」についてです。
さっそくその代表例を見てみましょう。
「自由でいなければならない。」
どうでしょうか。
矛盾の、最短の、ループが分かるでしょうか?
はい。小西さん。
そうですね。
なににも縛られない状態を指す
「自由」という言葉と、
「いなければならない」という強制感が
絶妙に、しかしきれいな放物線を描いて
ループして、見事な矛盾を生んでいます。
ではもう一つ見てみましょう。
「正しさを主張してはいけない。」
はい。これも見事ですね。
これは分かる人はいますか?
・・・お、はい。舩橋さん。
んー、そうなんですよね。
これ、言葉で『説明』しようとすると
ちょっと難しいんです。
その理由は、
この文が単語同士の間に起こる矛盾ではなく、
一つの文全体できれいな円を描いているからです。
「正しさ」からはじまった文が、
最後の「いけない。」にたどりつくと、
また最初の正しさに戻っている、という形。
だまし絵みたいですね。
と、こうして説明しても
やっぱり分かりにくいので、
これをわかりやすくするためには、
「ツッコミ」役を想定するのがセオリーです。
ここはよく試験に出ますので、
メモしておいて下さいね。
ツッコミ、というのはもちろん
お笑いの、漫才とかにあるような、
あのツッコミです。
まあ、ともかく、見てみましょう。
Aという人が
「正しさを主張してはいけません。」
いいます。
そしてBという人が
「って、お前が『〜〜したらダメ』っていう
正しさを主張しとるやないか〜い。」
という形ですね。
はい。
このように、
私たちが日常で使っている言葉の中には、
『高濃度に矛盾を含んだ』表現が
たくさんあります。
ちなみに、
ここで重要なのは、
矛盾があるからダメ、とか
ツッコミをされることは言わないように、
ということではありません。
言葉って、言語って、そういう矛盾とか
思わずツッコミを入れたくなるようなことも
豊かに含んだものなんですよ、
というのが、ここでおさえておきたいことです。
むしろ、日常的な会話においては、
いわゆる論理的な展開とか整合性を
持っている表現のほうが少ないくらいです。
これが何を意味しているのかというと、
私たち人間の、存在自体が、
そういう論理や整合性ではなく、
矛盾や飛躍の方に土台というか、
土壌があるということなのですが、
これについてはまた別の授業で。
今日はこれまでです。
ありがとうございました。
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